簡単に逆浸透膜とは
逆浸透膜の開発の歴史と実績
逆浸透の原理
逆浸透膜浄水器の原理
逆浸透膜浄水器の構造
逆浸透膜浄水器の代表的な汚染物質の除去率
他の浄水器との一番の違い
逆浸透膜浄水の効能・効果について
 

簡単に逆浸透膜とは


動植物の細胞膜(水の分子のみ透過させる)に近い人工の半透膜に圧力をかけ、その逆浸透作用によって真水を作ります。逆浸透膜には水分子の大きさ(約0.0003ミクロン)にほぼ等しい(僅かに大きい)孔が空いていて水は通しますが、水中の水分子より大きい大部分の不純物は通しません。

塩素はもとより、トリハロメタン、細菌、重金属、TOX(有機塩素化合物)など、不純物のほとんどを除去します。浄水能力は非常に高く、尿でも飲用可能な真水に変えます。アメリカでは主流だが、日本では、あまり普及しておらず、手に入れにくい。

逆浸透膜の開発の歴史と実績

開発の歴史

  • 1960年代にアメリカのフロリダ大学やカリフォルニア大学で逆浸透膜の基礎研究が始められ、ついでアメリカ政府がデュポンやコダックなどの企業に巨額の補助金を出して逆浸透技術の研究開発にあたらせました。
  • 1962年にアメリカ政府の援助により最初の逆浸透膜浄化プラント(4トン/日)が、作られました。
  • 1960年代には海水の淡水化、真水を超純粋にする技術が完成しています。
  • 1970年代には漁船、客船、軍艦などのほとんどの船舶に逆浸透膜の造水装置が積載されて、水補給のための寄港の必要性がなくなりました。
  • 日本ではPKO(国際平和維持活動)カンボジア派兵の際に、隊員の飲料水の確保のために最新式の逆浸透膜浄水装置が現地に持ち込まれ大活躍しました。
  • 1991年の湾岸戦争の時には、水の確保のためにアメリカ陸軍が8,000の携帯型大型逆浸透膜を購入しました。
  • 1993年にはアメリカ政府は中東向けとして、さらに6300の逆浸透膜を購入。

現在の使用実績

  • アメリカの家庭用浄水器市場の70%以上がすでに逆浸透膜タイプになっています。
  • 沖縄においては、逆浸透膜方式による大規模海水淡化システムが使用されています。沖縄県の北大東村、南大東村、粟国村、渡名喜村では、同じ淡水化プロセスを使用した施設によって、島民の生活用水のすべてをまかなっています。
  • 今日では世界で、3000以上の逆浸透膜浄化プラントが稼動しており、それぞれ毎日百万ガロン(3800トン/日)の飲み水を製造しています。
  • 現在は、NAVY・国際オリンピック委員会、腎臓病の透析、海水淡水化プラント、食料、医療、工業。農畜産などの分野でも使われています。

back to top

逆浸透の原理


逆浸透膜は現在市場で入手できるもっとも優れた液体用のフィルターです。ことばは難しそうに聞こえますが、プロセス自体はそれほど難しくありません。

動物や植物の細胞膜は半透膜と呼ばれ、物質が溶けこんでいる水溶液から水の分子のみを通過させ、水の中に溶けている物質は通さないという透過機能を持っています。

人工の半透膜で容器の中の真水を塩水をへだてると、真水は食塩水を薄めようとして、自然に塩水側に移動していきます。その結果真水が移った分だけ塩水側の水位が上がり、真水の水位が下がります。

そして両方の水位差による水圧と食塩水の希釈力がつりあったところで水位の変化は止まります。この圧力を浸透圧といいます。これが通常浸透とよばれる現象です。

逆に塩水側に圧力を加えると、今度は塩水側の水分子だけが真水側に移動していきます。これを逆浸透といいます。圧力が加わった分だけ真水側の水位は上がります。

水の分子以外は通さないという半透膜の特性により、塩分は通過できずにはじかれてしまうので、塩水から真水が取り出すことが可能になります。

通常の浄水器に使われているマイクロフィルターで食塩水と真水をへだてても、浸透現象は起きずに塩水と真水とがフィルターの目を通して混じりあい、両側とも塩水になってしまいます。

これはろ過フィルターの限界である0.01ミクロン程度のフィルターの目を、それより小さい食塩の分子がやすやすと通過してしまうためです。

逆浸透膜の孔径は水分子より(0.0003ミクロン)より少し大きいです。

 

back to top

 

逆浸透膜浄水器の原理


通常の水浄化フィルターは水中の粒子を分離するのにスクリーンの形状のものを使います。粒子はフィルターで捉えられ水は通過します。しばらく経ち、フィルターにはたくさんの粒子がたまり、水が通過できなくなるとフィルターを交換します。フィルターがすぐつまるのを防ぐために水が通過するフィルターはある程度大きい必要があります。しかしこれでは水に溶解しているほとんど全ての物質が通過してしまいます。

逆浸透膜システムでは半浸透膜(メンブレーン)を使用します。膜は薄い多層のシートから成り、水の分子は通過し、水に溶解している塩やその他の化学物質は通さないような微細な孔を持ちます。

実際の逆浸透膜浄水システムでは上の図に示すように、クロスフローフィルターが使われます。クロスフローシステムでは給水は絶えず膜に沿って流れ、膜を通過しないすべてのものはクロスフローによって押し流され、排水ポートに送られます。このように逆浸透プロセスは膜の詰まりなしに連続的に運転されます。

逆浸透方式は水の味、臭い、色に悪影響を及ぼしている塩素、臭素などの物質、あるいは健康に悪影響を与えかねない砒素、農薬、鉛、水銀、放射線物質などに対して有効に対処できます。適切な活性炭などの前フィルターを使うことにより、ベンゼン、トリハロメタン、トリクロロエチレン、ラドンなどの揮発性の物質も除去できます。

back to top

逆浸透膜浄水器の構造


逆浸透膜は接合されたいくつかの層からあるいはシートから成り、樹脂チューブにスパイラル状に巻かれています(TFC膜:Thin Film Composite Membraneと呼ばれる)。

逆浸透膜は水の分子は通しますが、水に溶解している金属や、化学汚染物質などは通しません。一般的な5段階逆浸透膜浄水器は、プレ(前)フィルター3ユニットと逆浸透膜1ユニットとポスト(後)フィルター1ユニットから構成されます。

プレフィルターは逆浸透膜に水が行く前に、ある程度の大きさの粒子の浮遊物と塩素などの有機物質を除去します。逆浸透膜は水分子(0.0003)ミクロンより少し大きい微細な孔と持つフィルターでウイルス・バクテリア・アスベスト・無機塩水・有害金属・放射性物質などを除去します。

ポストフィルターは逆浸透膜を通過するごく少量の気化塩素や微小有機物を除去します。浄化された水は貯水タンクに保存され、必要に応じて専用蛇口から取り出されます。

プレフィルター1

5ミクロンセディメント

5ミクロンまでの浮遊物を物理ろ過

プレフィルター2

活性炭(カーボン)ブロック

塩素などの有機物質を除去

プレフィルター3

1ミクロンセディメント

1ミクロンまでの浮遊物を物理ろ過

逆浸透膜

0.0003ミクロンより少し大きい孔を持つ逆浸透膜

ウイルス・バクテリア・アスベスト・無機塩水・有害金属・放射性物質などを除去

ポストフィルター

活性炭(カーボン)ブロック

逆浸透膜を通過するごく少量の気化塩素や微小有機物を除去

注:セディメントフィルターは化学繊維のフィルターです。

フィルターはカートリッジになっていて、交換が簡単にできます。

 

back to top

逆浸透膜浄水器の代表的な汚染物質の除去率


名水ドットコムの逆浸透膜浄水器は強力な活性炭フィルターにより水中の98%以上の有機化合物を除去します。代表的なものではTHM(クロロフォルム)、DBCP、リンデン(殺虫剤、除草剤)、TCE(トリクロロエチレン)、PCE(テトラクロロエチレン)、カーボンテトラクロライドクロラインなどです。これらの有機化合物のほかにも下に示す汚染物質などが逆浸透膜で除去されます。除去率の数字は控えめな推定値です。

溶解金属イオン

除去率、%

溶解金属イオン

除去率、%

アルミ

96-98

95-98

アンモニア

96-98

マグネシウム

93-98

ヒ素

93-97

マンガン

96-98

バクテリア

99+

水銀

94-97

ブロマイド

90-95

ニッケル

96-98

カドミニウム

93-97

硝酸塩

90-95

カルシウム

93-98

リン酸塩

95-98

塩素

92-95

カリウム

92-96

クロム酸塩

85-98

ケイ酸塩

92-95

96-98

93-96

シアン化物

85-95

ナトリウム

92-98

フッ化物

92-95

硫酸塩

96-98

硬度,Ca,Mg

93-97

チオ硫酸塩

96-98

93-97

亜鉛

96-98

メンブレーン(逆浸透膜)メーカーからの参考データ。
実際の性能は使用条件により異なる。

back to top

他の浄水器との一番の違い


他の活性炭、マイクロフィルター、イオン交換樹脂膜、セラミックとの一番大きな違いは、濾過能力です。水分子(0.0003ミクロン)より少し大きい孔のフィルター機能により、トリハロメタン、細菌、重金属、TOX(有機塩素化合物)、農薬などを確実に除去できます。海水、ウィスキー、お茶、尿までも真水に変えます。

back to top

逆浸透膜浄水の効能・効果について

 
特別な効能・効果はありません。塩素などの不純物が除去されたために髪や肌が傷まない、水がおいしくなる、お茶やコーヒーなどの風味が引き立つなどの利点はありますが、その他の、

・クラスターが小さくなる。
・体細胞に浸透吸収されやすく、健康増進、体質改善に良い。
・アトピーを治す。
・浸透性が大きい
・植物の新鮮さを保つ
・中性脂肪やコレステロールを分解してくれる。
・溶解性が大きい
・熱伝導性が高い

などの効能・効果は確認されていません。汚染が特別ひどい場合と比較すれば別でしょうが、田舎のきれいな水と比較した場合、差が出るとは思えません。

逆浸透膜浄水器は、危険物質を含む不純物を最大限除去するだけです。

back to top

meisui.com